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社説 桜を見る会 公文書の軽視があらわだ - 信濃毎日新聞

 政府が行ったことの記録が残っていなければ、それが適正だったのかどうかを確かめるすべはない。それでいて、何もおかしなことはしていないから信用しろと言っても無理な話だ。

 首相が主催する「桜を見る会」の招待者名簿である。昨年の名簿を廃棄していただけではない。それ以前から、法令に反するずさんな取り扱いをしていたことが次々と明らかになっている。

 公文書管理法は、保存期間が1年以上の行政文書について、管理簿への記載を義務づけている。廃棄する際は、首相(実務上は内閣府の担当課)の同意が要る。

 招待者名簿の保存期間は2017年度まで「1年」だったが、13〜17年度の5年間、いずれの手続きも取っていなかった。政府のガイドラインで定めた廃棄の記録も残していない。

 ルールに基づいて適切に保存、廃棄していると繰り返してきた政府の説明は、ほころびがあらわだ。裏づける記録がなければ、廃棄したかどうかも分からない。

 菅義偉官房長官は法令違反があったことを認めつつ、前政権下の11、12年の取り扱いが漫然と引き継がれたと述べている。民主党政権に責任を転嫁するような苦しい言い分だ。11、12年は東日本大震災などで会が中止されている。

 名簿の存否を再調査する考えはないと菅氏は明言した。都合が悪い文書をあえて探す必要はないということか。政府が果たすべき責務を顧みる姿勢は見えない。

 公文書管理法は、行政文書を「民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づける。政府は、適正に管理して「現在及び将来の国民に説明する責務」を負う。憲法が保障する国民の「知る権利」とも密接に関わる法の理念が骨抜きにされかねない。

 森友学園への国有地売却をめぐる交渉記録の廃棄、南スーダンに派遣した自衛隊の日報の隠蔽(いんぺい)…。相次いだ問題を受けて改善が図られたはずの行政文書の管理、運用は、むしろ後退した感がある。

 桜の会の名簿は、保存期間が「1年未満」に変更された。招待者に首相の地元後援会員や妻の知人らが多く含まれ、私物化と批判されても、政府は「既に名簿は廃棄した」と、しらを切る。

 うやむやにさせないためには、公文書管理のあり方を見直す必要がある。何より、1年未満で廃棄できる仕組みはなくすべきだ。より根本的には、政府から独立した機関を設けて文書の扱いを監視することが欠かせない。

(1月16日)

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