衆参両院は23日、安倍晋三首相の施政方針演説などへの各党代表質問を実施した。22日に続いて立憲民主党などの質問は首相主催の「桜を見る会」を巡る問題や、カジノを含む統合型リゾート（IR）事業に絡む汚職事件に集中した。IR計画を撤回するよう求めている。今国会ではこの2つの問題を争点に据える姿勢を示した。
参院本会議で立憲民主・福山幹事長の代表質問を聞く安倍首相（23日）
桜を見る会を巡っては首相が地元後援会関係者を多数招待していたのを批判した。立民の福山哲郎幹事長は「公的行事の私物化、公職選挙法や政治資金規正法違反の疑いがかけられている」と指摘し、辞任を求めた。
共産党の志位和夫委員長は首相の事務所が推薦した招待者の人数を質問し「事実上ノーチェックで招待したなら、血税を使った買収そのものだ」と批判した。
首相は「私の事務所が推薦したもので、招待されなかった例もあったと承知している」と答えた。具体的な人数は名簿が破棄され、定かでないとした。
招待者名簿を破棄した政府の対応については、福山氏が「文書管理に違法な手続きや処理が行われた」と言及し、志位氏は「組織的隠蔽だ」と非難した。首相は「公文書管理に関するガイドラインにのっとった対応と考えており、組織的隠蔽を図ったとの指摘は当たらない」と反論した。
衆院本会議で代表質問に臨む共産党の志位和夫委員長（23日）
マルチ商法を展開して経営破綻したジャパンライフ元会長も招待されていたことでは、志位氏が「首相自身の推薦で招待し、被害を広げた」と訴えた。首相は「違法・不当な活動に利用されるのは決して容認できない」と述べた。
福山氏はジャパンライフ元会長の招待状にあった区分番号「60」は首相推薦枠だと追及した。首相は「指摘の番号は便宜的に付している。破棄しており、意味は定かではない」と答弁した。
首相は桜を見る会の今後に関し「様々な批判がある。真摯に反省し、私自身の責任で全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行う」と語った。
福山氏らはIR担当の内閣府副大臣だった衆院議員の秋元司容疑者によるIR参入を巡る贈収賄事件でも首相の任命責任を追及した。首相は「かつて副大臣に任命した者として事態を重く受け止めている」と述べた。
政府はIR事業者の選定基準などを示す基本方針を当初1月中に策定する予定だったが、2月以降に先送りする。首相は「カジノ管理委員会や国会での議論を踏まえ、丁寧に策定作業を進めている」と話した。IR自体については「観光先進国の実現を後押しするものだ」と意義を説明した。
立民や共産、国民民主など野党4党はIR計画の撤回を求めている。2018年に成立したIR整備法の参院での付帯決議では「海外の事業者が選定されることを目指した働きかけに対し、収賄等の不正行為を防止」するよう国に義務付けた。
志位氏は事件により「付帯決議が守られなかった。それならばカジノ実施は中止すべきだ」と迫った。野党4党はIR計画を白紙に戻すため、IR整備法などの廃止法案を国会に提出した。
立民などは桜を見る会やIRを巡る問題を「政権の体質を象徴する問題だ」と位置づける。政権に不都合な情報を隠している点で学校法人「森友学園」「加計学園」問題と同根だと訴え、世論の支持に期待する。
自民党の二階俊博幹事長は22日の衆院本会議での代表質問で「桜はもう散った。早くこの問題から次の建設的な議論に移していかねばならない」と強調した。野党は世論の反応をみながら今国会の戦略を練る。
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January 23, 2020 at 06:00PM
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