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一度見るとくせになる? ドラマ「太陽は動かない」に込めた原作者・吉田修一の思いとは - 毎日新聞 - 毎日新聞

ドラマ版「太陽は動かない-THE ECLIPSE-」第1話の一場面。鷹野一彦(左、藤原竜也)と田岡亮一(竹内涼真)は情報戦の渦中を生き抜く

 諜報(ちょうほう)機関のエージェントたちが繰り広げる情報戦を描いた作家、吉田修一の「鷹野一彦」シリーズが映像化される。映画「太陽は動かない」は、新型コロナウイルスの感染拡大で「近日公開」に上映が延びたが、同時に撮影されたドラマ版「太陽は動かない-THE ECLIPSE-」(全6話)はWOWOWプライムの「連続ドラマW」枠(日曜午後10時)で24日から始まる。見どころは藤原竜也演じる鷹野一彦らエージェントたちが繰り広げる派手なアクションだが、吉田ならではの人間ドラマもしっかり描かれ、翌週まで続きを待てない「くせになる」作品になっている(一部、ネタバレがあります)。【佐々本浩材】

 「鷹野一彦」シリーズは、「太陽は動かない」「森は知っている」「ウォーターゲーム」からなる3部作の小説。表向きはニュース配信会社を装う諜報組織「AN通信」でスパイとして世界を駆け回る鷹野の活躍を描いている。

 映画、ドラマともメガホンを取ったのは、映画「海猿」シリーズなどの羽住英一郎監督。昨春、ブルガリアで長期ロケを敢行。都市中心部の官庁街で大通りを封鎖し、発射されたロケットランチャーでトラックが横転するような、日本では絶対に撮影が不可能なハードなアクションシーンなどを撮影した。鷹野役の藤原と、新人エージェントの田岡亮一を演じる竹内涼真はトム・クルーズ主演のスパイアクション映画「ミッション:インポッシブル」シリーズの映像を見ながら撮影に臨んだと語るのも分かるほど、息つく暇もないノンストップアクションが展開される。

 映画は「太陽は動かない」と「森は知っている」が原作。次世代エネルギーの極秘情報を巡り、世界各国のエージェントたちと渡り合う鷹野らの姿を描いたエンターテインメント色の高い「太陽は動かない」に、鷹野の生い立ちやエージェントとして教育された少年期のエピソードが描かれた「森は知っている」を加えることで物語性が強まっている。

 だが、映画は時間の制約もあり、鷹野やAN通信の背景まで描ききるのは難しい。今回のドラマ版は、吉田の原案を林民夫が脚本にした、オリジナルストーリーで、鷹野と新人の田岡が初めて組んだ仕事を描く。そのことで2人はもちろん、主な登場人物たちの人間関係が浮き彫りになっていく映画の“予習編”的な位置づけだ。主なキャストは映画と共通で、スタッフも同じ。日本各地で撮影したため、アクションは映画ほど派手さこそないが、作品全体のクオリティーは高く、映画より人間ドラマに満ちた作品だ。

 有料放送のWOWOWだが、第1話は無料放送。すでに動画投稿サイト「YouTube」のWOWOW公式チャンネルで第1話は無料配信中で、放送前から楽しむことができる。

 ドラマは、3年後に東京で開催が決まっている国際都市博覧会の建設現場で爆破事件が発生。政界のフィクサー、中尊寺信孝(石橋蓮司)と第1秘書の永島徹(吉田鋼太郎)の依頼を受けた鷹野(藤原)は、AN通信の上司、風間武(佐藤浩市)の指令で新人の田岡(竹内)と組んで、事件を巡る情報戦にからんでいく。

 香港に潜入しているエージェントの山下竜二(市原隼人)が得た情報などから、中尊寺らがもともと計画していた博覧会建設地の移転工作を乗っ取り、中尊寺一派に罪を着せようとする中国企業の勢力と、それに協力する謎の工作員、フクモト(安藤政信)の存在が浮かび上がる。

 そして次第に明らかになるのは都市博以上の巨大利権。さらに別の大国も加わり、情報戦の行方は混沌(こんとん)としていく。元首相の息子で、「政界の貴公子」と呼ばれる2世議員、桐野研次郎(柿澤勇人)も登場。NPO職員、落合香(多部未華子)が中尊寺やAN通信を追い続けるきっかけになった事件など、現実にあった事件や人物を連想させる描写が多く、ポリティカルサスペンスの味わいも加わる。

 海外ドラマの「24」のように、各登場人物の思いが複雑に絡み合い、アクションがノンストップで続いていく感じと言ったらわかりやすいだろうか。私は前半部分を試写で連続して見たが、たぶん放送の場合、早く続きが見たくて、「24」のように一気に続けて放送してくれと思わず訴えたくなるようなドラマだ。

 ドラマを面白くしているのは、まずエージェントを演じる藤原らの派手なアクション。硬派な市原のエージェント姿も様になっている。元新聞記者だが、…

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May 24, 2020 at 12:00PM
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