目の前の景色に神々の物語を重ね合わせ、神々の姿を見出す。ほんの少しでも神話を知っていることで風景に奥行きが生まれる。古くから日本人は想像力を駆使して、神話の世界を楽しんできました。
黄泉国の入り口 黄泉比良坂
上っているようで下っているような不思議なうねりのある黄泉比良坂(よもつひらさか)
死者が行く世界。日本の神話では黄泉国(よみのくに)と呼ぶ。世界の神話では地下にあることが多いが、日本の場合は謎。その謎をさらに深めるのが不思議な坂の存在だ。その坂を舞台に人間の運命が決まっていく。
愛する妻を亡くし、連れ戻すために死者の国へと向かう夫の物語。世界各地にみられ、有名なギリシャ神話の主人公の名から「オルフェウス型」神話と呼ばれる。イザナキによる黄泉国訪問の神話も「オルフェウス型」だ。この世界を生み出したイザナキとイザナミという夫婦の別れの場面に出雲の地が重ね合わされている。
妻を失ったことを受け入れられないイザナキは、黄泉国へと迎えに行く。イザナミは帰れるよう黄泉国の神と相談してみると言った。そして一つ不思議なことを頼んだ。
「相談をしている間、決して私の姿を見ないでください」
待てどもイザナミは、なかなか戻ってこない。イザナキはとうとう火をともし、禁忌を犯し、御殿の中を覗いてみた。するとそこには、ウジ虫が湧き、体中から雷神を発生させているイザナミの死体が。美しかったかつての妻とはまったく違う姿に驚いたイザナキは、恐れおののき、一目散に逃げていく。
死者の世界である黄泉国の場所を、古事記は明らかにしていない。手がかりとなる葦原中国と黄泉国の間の「黄泉比良坂」は「比良坂」、つまり平らな坂という矛盾した表現の謎の坂だ。しかし黄泉比良坂と伝えられている「出雲国の伊賦夜坂」の伝承地を訪れてみると、なるほど比良坂とはこういうことかと腑に落ちる。うねっているのである。上り坂のようで下り坂のようで。登ったのか降ったのかわからない。ただの藪のように見える写真だが、この先に黄泉国があるのではと感じさせるひんやりとした空気の漂う場所だ。
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