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<ねぇゴローちゃん!腹話術師の旅日記>新年に願いを込めて 除夜の鐘なぜ:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞

正月準備が進む川崎大師境内の鐘楼堂=川崎区で

正月準備が進む川崎大師境内の鐘楼堂=川崎区で

 「ねぇ、ゴローちゃん、今年ももうすぐ終わりだね」

 「うん。じょやのかねが鳴れば、お正月だ」

 「除夜の鐘って、いくつ鳴るか知ってる?」

 「百八! ぼんのうのかずでしょ」

 「なぜ煩悩の数が百八なの?」

 「そんなの、知らなーい」

 「苦労することを四苦八苦って言うでしょ。ここで問題だよ。四苦って言葉を掛け算に直してごらん」

 「四×九=三十六だよ」

 「そう三十六だね。じゃ、次に八苦を掛け算に直してごらん」

 「八×九=七十二」

 「そうだね。そうしたら、今度は四苦の三十六と八苦の七十二を足してみて」

 「あっ、百八になる!」

 「ピンポーン、百八だね。だから、来年は四苦八苦しなくても済む年にしてくださいって願いを込めて鐘をつくんだって」

 年の暮れにはこんな話をします。すると、お客さんからよく質問が飛んできます。「それって、本当?」

 そこで答えます。「諸説があります」。ゴローちゃんはチコちゃんになってかわすのです。

 ところで、今年は実にいろんなことがありました。

 「ゴローちゃんは今年、どんなことが印象に残ってる?」

 「ようちえんの車に子どもがとりのこされて死んじゃったこと」

 「悲しかったね」

 「それから、お父さんやお母さんをなくしたウクライナのお友達が泣いていたこと」

 「そうだったね。それでゴローちゃんは川崎駅前で支援のカンパを訴え、集まった十五万円をユニセフ(国連児童基金)を通じてウクライナに送ったんだよね」

 「うん、お礼の手紙が来た」

 「でも悲しいことばかりじゃなかったよね」

 「うん、サッカーで日本がドイツやスペインに勝ったこと」

 「ほんとにすごかったね」

 「ぼくね、あれを見てて思ったんだ。むずかしいことでもあきらめないでやろうって」

 「いいねぇ、ゴローちゃん」(しろたにまもる=寄稿)

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