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挑戦者2023:訪日客とガイドをつなぎ楽しい旅を――橋本直明さん | 週刊エコノミスト Online - 週刊エコノミスト Online

トラベリエンス代表取締役社長 橋本直明

 日本を訪れる外国人に楽しく充実した旅行をしてほしいという思いから、大手企業を辞めて起業した無類の旅行好きの事業。(聞き手=平野純一・編集部)

>>連載「挑戦者2023」はこちら

 日本に来る外国人旅行者と通訳ガイドをつなぐ「GoWithGuide(ゴーウィズガイド)」というウェブサイトを運営しています。旅行者はガイドを選び、メッセージをやりとりして好きなプランを作ることができる。東京、箱根、京都、北海道、沖縄など有名な観光地はもちろん、47都道府県すべてにガイドがいます。

ガイドが案内して浜離宮恩賜庭園で茶道を体験 トラベリエンス提供
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 料金は1グループを1日6~8時間案内して2万~4万円程度です。全国で約1000人のガイドが登録し、2330コースを提供しています。海外でも同様の事業を行い、88カ国で約800人のガイドが登録し、2660コースを用意しています。

 社員は10人。日本語がネイティブの日本人は私だけです。あとは台湾人、ブラジル人、日本とタイ、日本とフィリピン、イランとイタリアのハーフがそれぞれ1人。その他に南ア在住の南アフリカ人と、インド在住のインド人が3人います。仕事はもちろんすべて英語です。

新型コロナで事業は窮地に

 大学卒業後はコンサルティング会社のアクセンチュアで4年半、リクルートの旅行雑誌の営業部門で5年間働きました。転機は2011年3月の東日本大震災です。多くの人が亡くなって自分の人生を見つめ直す機会が増えるなかで、世界一周の旅に出たいという気持ちになりました。12年4月に会社を辞めて9カ月間、中央アジア、中国、ネパール、インド、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカを旅してきました。

 チベットとドイツでガイドを頼み、チベットではガイドブックを棒読みするだけでしたが、ドイツ・ミュンヘンのダッハウ強制収容所でのガイドは非常に良い人で、充実感を味わえたんです。旅はガイドでこんなに違うのかという思いが、この事業を始めるきっかけになりました。

 最初は、東京・浅草を無料で2時間案内して、気に入ってもらえたら、1人2000円で原宿や渋谷、4000円で築地、浜離宮、皇居などを案内するコースを作りました。なかなかお客さんは集まらず、私が雷門の前に立ち、旅行者に声を掛けていました。でも、3~4カ月後には「もっとお金を出すからプライベートで案内してほしい」と頼まれることが多くなり、要望に沿ってコースを組んで1日3万円程度で案内しました。この依頼がどんどん増えて、事業にも確信が持てるようになりました。

 19年までは売り上げが前年比2倍、2倍と伸びて非常に順調でした。しかし、20年春の新型コロナウイルスの感染拡大で、売り上げは一気に9割以上の減。21年には、コロナ前に10人いた社員は将来が見えないなどの理由から全員退職しました。その後に採用したカスタマーサービス担当の2人体制で1年間を過ごしました。

 この3年間は本当にキツかったですが、今年春には売り上げもコロナ前の8割程度まで回復し、社員も10人に戻せました。コロナを機に、仕事はすべてリモートで行えるようにしました。私自身、長野県南箕輪村に住んでいます。今はコロナで傷んだ事業を着実に回復させていくことが重要だと思っています。


企業概要

事業内容:日本および世界各国で旅行者と通訳ガイドをつなぐツアー販売サイトの開発・運営

本社所在地:東京都台東区

設立:2013年2月

資本金:300万円

従業員数:10人


週刊エコノミスト2023年6月6日号掲載

橋本直明 トラベリエンス代表取締役社長 訪日客とガイドをつなぎ楽しい旅を

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