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赤い砂漠と死海で「初めて」づくし 宇賀なつみがつづる旅(44) - 朝日新聞デジタル

フリーアナウンサーの宇賀なつみさんは、じつは旅が大好き。見知らぬ街に身を置いて、移ろう心をありのままにつづる連載「わたしには旅をさせよ」をお届けします。ヨルダンの旅の後編。砂漠でのハプニングに、宇賀さんは……。

「やり残したこと ヨルダン」

ヨルダンに降り立って3日目。
朝早く起きて、ワディラム砂漠に向かった。

世界遺産にも登録されている自然保護地域なので、
まず最初に、入場料を支払う。

ビジターセンターでチケットを買い、
そこからまたしばらく車を走らせると、ついに目の前に砂漠が広がった。

そのまま進み、砂の上をノロノロ走っていると、
急に車が動かなくなった。
ドライバーが慌てて外へ出る。
どうやら、タイヤが砂に埋まってしまったようだ。

電話をして助けを求めると、
すぐに3人の男性が、それぞれの車に乗ってやってきた。
前から引っ張ったり、後ろから引っ張ったり、
ようやく抜け出した時には、30分ほど経っていただろうか。

ちょっとしたハプニングは、大歓迎。
忘れられない思い出になる。
記録に残しておこうとカメラを向けると、
皆笑ってピースサインをしてくれた。

安全な四駆車の荷台に乗り換え、キャンプ地を目指す。
今度は快適と思いきや、スピードを出すのでかなり揺れた。

赤い砂漠と死海で「初めて」づくし 宇賀なつみがつづる旅(44)

どこまでも続く赤い砂漠と、垂直に切り立つ岩。
初めて見る景色の連続なのに、
あぁ、地球という星で生きているのだと実感する。

その後は、3時間ほどのツアーで砂漠を巡った。
壮大な景色を前に夢中でシャッターを押したが、
切り取られてしまうと、やっぱり物足りない。

最後に、枯れた木を集めて火をおこしてお茶を飲んだ。
遠くでラクダが歩いているのが見えた。
この砂漠を進み続けた人たちが、歴史を作ってきたのだ。

赤い砂漠と死海で「初めて」づくし 宇賀なつみがつづる旅(44)

日が沈んでしまうと、急に寒くなる。
夜には、真っ暗な空に敷き詰められた星たちが、
私たちを見下ろしていた。

最後に訪れたのは、死海。
海抜マイナス約400メートルにあり、塩分濃度の濃い湖は、
青く輝いていて、眺めているだけで晴れやかな気分になる。

赤い砂漠と死海で「初めて」づくし 宇賀なつみがつづる旅(44)

足を踏み入れた瞬間に、浮力を感じた。
真っすぐ立とうとしても、足が浮いてしまう。

トロトロした水の中で、ふわふわ浮いていた。
周りの大人たちが皆ラッコのように見える。
そのままどのくらい漂っていたのだろう。
あまりに心地よくて、時間という概念を忘れていた。

さすがにこれ以上日焼けしたらまずいと思い、
陸に上がってみると、体が重くて驚いた。
生まれて初めて、重力を意識した瞬間だった。

赤い砂漠と死海で「初めて」づくし 宇賀なつみがつづる旅(44)

いよいよ旅も終盤。
対岸のイスラエルの山々に落ちていく夕日を眺めながら、
冒険の日々を振り返った。

毎日移動して、あっという間の1週間。
砂漠では、別のキャンプにも行きたかったし、
死海では、もっとのんびりしたかった。

また絶対戻ってこよう。
もう少し落ち着いてから、ゆっくり来よう。

やり残したことがあるくらいが、ちょうど良いのだ。

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