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ぶらりぶらり…走行距離約170km6時間半“秘境旅” 世界を魅了「日本一長い路線バス」 - テレビ朝日

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今、日本一長い路線バスの旅が人気です。走行距離約170キロメートルで6時間半、沿線住民が“生活の足”として利用する路線バスに、なぜ世界中から乗客がやってくるのでしょうか?実は、秘境の穴場スポットが点在!個性豊かな乗客たちのぶらりぶらりぶらり…日本一長い路線バス途中下車の旅を追跡しました。

■走行距離は169.8km 停留所は168カ所

妻 60代
「夢のバス旅だったんです」

夫 70代
「大自然の中をバスに揺られて景色も見ながらいっぺんしてみたいなって」

今、日本一長い路線バスの旅が人気です。

運転手
「本日は“日本一長い路線バス”新宮行き特急バスをご利用いただきまして誠にありがとうございます」

走行距離は169.8km 停留所は168カ所

奈良交通が運行する八木新宮線。奈良県橿原市の大和八木駅から和歌山県の新宮駅まで走行距離は169.8キロメートル。停留所の数は168カ所です。

高速道路を使わない路線バスの中では、日本一の長さです。

学生
「(Q.よく乗りますか?)もうめちゃくちゃ乗ります」
「(Q.このバスは?)世界一です」
「(Q.日本一です!)あっ…世界一じゃなかった!勝手に世界一にしちゃった!」

“日本一の路線バス”は沿線住民の生活の足

沿線住民の生活の足としてだけではありません。

大阪から来た乗客(80代)
「“日本一の路線バス”やから一回乗りたいなということで」

大阪から来た乗客(70代)
「死に土産ちゃう。死に土産」

奈良から来た乗客(40代)
「(長旅で)肩がバキバキになるって聞いて…お尻に敷くクッションとか色々持ってきてん」

県外だけでなく、世界中から乗客がやってきます。

■外国人が目指す“穴場の秘湯”

この日、「本宮大社前」停留所から駆け込んできたのは、シンガポールからの観光客2人組です。

シンガポールからの観光客2人組

デイビッドさん(55)
「自然が好き。日本の自然が大好きなんだ。あとは…日本料理。オイシイデス」

日本の自然を満喫したいと、熊野古道をハイキングしていたのが、デイビッドさんとリーさん(55)です。

デイビッドさん
「あ〜暑い。たくさん汗をかいたよ。こりゃ2キロは痩せたな」

汗だくになった2人が次に降りたのは、「下湯の峰」停留所。目的地は坂の上にあるようです。

目的地は坂の上に

デイビッドさん
「あっちゃ〜!なんて急なんだ!!!」
「見て!山がきれいだ!ジャパニーズネイチャーイイデス」

さらに、急な坂を歩きます。

デイビッドさん
「ハァ…ハァ…(坂登りながら)僕たちオールドメン」
リーさん
「フルイ!」
デイビッドさん
「フルイ!」

湯の峰温泉

55歳だというお二人が、どうしても行きたかった目的地は温泉でした。

デイビッドさん
「キモチイイ」

リーさん
「ヨカッタ!」

実は、「湯の峰温泉」は日本最古の湯とされる名湯なのです。

デイビッドさん
「自然に囲まれ、湯の温度、におい、すべてが非常に質が高いよ」

リーさん
「ジャパンキモチイイ」

日本一長い路線バスの沿線には、日帰り入浴も楽しめる天然温泉がたくさんあるんです。

■車内で“出会い”も 言葉かわし意気投合

お互い“一人旅”中に…

この日、車内で、なんとも楽しげに語り合う男女がいました。でも、お二人の関係は意外なモノでした。

男性
「初対面です」
女性
「初対面です。お互い乗り物が好きだったりとか、景色の話とかしていました」

たまたま言葉を交わし…意気投合

聞けば、それぞれ東京と大阪からの一人旅。長ーい車内で、たまたま言葉を交わしたところ、意気投合したのだといいます。

LINEの連絡先も交換する2人。普通の路線バスでは、なかなかない出会いです。

■一人旅の91歳女性 思い出深い「谷瀬の吊り橋」へ

大阪から来た一人旅の91歳女性

大阪からやってきた、一人旅の高齢女性に出会いました。

91歳女性
「名前は山田太郎と言います。ウソウソ」

なんともお茶目な、中村廸子さんです。

廸子さん
「人生の最後だから。きょうはお天気が良いから橋を渡るんです」

聞けば、路線バスで“人生最後の旅”に来たといいます。

廸子さん
「もう最後にしようと思って。元気でス〜っと天国に行けたらなぁ」

笑顔で縁起でもないことを口にする廸子さんですが…この後、大きな心境の変化が生まれることになるんです。

「上野地」停留所から歩くこと3分、廸子さんが渡りたかった橋が見えてきました。

目的地を発見した中村廸子さん

廸子さん
「ここ!ここですよ」
「(Q.ここですか?)誰か渡ってますやん」

谷瀬の吊り橋

それが「谷瀬の吊り橋」長さ297メートル、高さ54メートル。生活用としては、日本一長いつり橋です。

廸子さん
「きょうは風のない上等の日ですよ。渡るのに」

日本一のバスで、日本一のつり橋へ…。聞けば、ここは何度も渡った思い出深い場所だといいます。

子どもとの思い出の場所

廸子さん
「子どもと来て。この下でキャンプした時もあった」
「(Q.昔ですか?)昔…今60歳の子が、5〜6歳の時」

記憶をたどるようにたっぷり時間をかけ…廸子さんは、およそ300メートルのつり橋を渡り切りました。

廸子さん
「ああ、よく渡れたなぁと思います」

最後の旅と言っていた廸子さんですが…その顔は満足感であふれていました。すると…。

息子が買ってくれた靴

廸子さん
「この靴は息子が買うてくれた靴。『おかあちゃん方々行くのにこの靴ええで』って。これから、この靴を履いてどこへでも行こうと思ってるんで。これ履いたから、帰ったら息子に『あの靴履いて橋渡ってん』って言ったら、ようやるなって言うと思う」

これからも、このお気に入りの靴を履き、バスで旅に行きたいといいます。

■専属の運転手は約1000人のうち“5人”

狭い山道で大型トラックと遭遇

狭い山道では、大型トラックとの遭遇もしばしば…。でも、巧みなハンドルさばきでスムーズに対応します。

乗客
「さすがやな!神経使うよ〜」

約1000人のうち専属ドライバーは5人

“日本一長い路線バス”を専属で運転するのは、奈良交通に所属する運転手およそ1000人のうち、なんと、わずか5人なんです。

運転手
「正面に見えます、大きな筒が『野尻水路橋』です。ダムの水を十津川第一発電所まで送っています」

ガイドもこなしながら安全快適な“旅”を担うベテランたちです。

およそ170キロを運転したら、現地の営業所で宿泊。翌日、再び長距離を担当します。

そんな「日本一長い路線」ゆえの“運転手あるある”が、あるそうです。

「日本一長い路線」ゆえの“運転手あるある”

八木新宮線ドライバー 間野泰博さん(59)
「月に12回泊まってるんで。平均してみなさん、夫婦円満ですね」
「(Q.円満なんですか!?)そうそう。ちょっと奥さんと距離が空くんで」

■運転手に胸キュン“推し活”旅も

お客さんの中には、こんな人たちもいるほどです。

10年ほど前から乗りに来ている夫婦

寺本明子さん(61)
「10年ぐらい前からずっと乗っています。1年に2〜3回乗ることもあるし」

寺本俊彦さん(61)
「運転手さんと記念撮影するのが…アルバムも持っているんですよ」

乗車する度に運転手と撮影

それがこちら。この路線バスに乗車する度に撮影している運転手さんコレクション。5人全員のコンプリートはもちろん…。

明子さん
「キュンですね」

妻の“推し” 杉本一雄ドライバー

妻の“推し”だという杉本一雄ドライバー(58)の写真だけで…夏服、冬服の両バージョンそろっています。

明子さん
「いつも運転手さんと記念写真撮らせて頂いているんですけど、よろしかったら一緒にお願いできませんでしょうか?」

旅の楽しみ方は、人それぞれ、なんですね。

■運転手へ差し入れ続け…20年以上

停留所の目の前に住む 西林英子さん

バスが20分休憩をする「上野地」停留所の目の前に住む、西林英子さん(89)。

西林さん
「食べてみて。1個食べて」
運転手
「おおきに。ありがとうございます」

休憩する運転手さんへ差し入れを続け、もう20年以上にもなります。

運転手
「何歳になった?」
西林さん
「もう来年90(歳)や。6人きょうだいおってんけど、みんなおらんねん。おばちゃん一人や」
運転手
「そりゃ100歳まで生きなね」
西林さん
「いや〜」

なにげない会話が楽しみだという西林さん

何気ない会話が、なによりの楽しみなのだとか。

西林さん
「人助けといたらな、自分助かると親にもしつけされてきた。助け合いや」

■冬季限定の川湯温泉 米国人「超サイコー」

廃線危機も…「日本一長い路線バス」として知名度がアップ

1963年に運行を開始した路線バス・八木新宮線。沿線の過疎化が進み、過去には何度も廃線の危機に見舞われたといいますが、「日本一長い路線バス」として知名度がアップ。観光目的の利用者が増加したことで、にぎわいを取り戻しています。

今、海外の観光客から特に人気の行き先があるといいます。

アメリカから来た観光客

アメリカから来た観光客
「川の中の温泉があるらしくて…」
「カワユ」

冬季限定の川湯温泉(和歌山・田辺市)

それが、和歌山県田辺市にある川湯温泉。源泉が湧き出る川に、冬季限定で設営される巨大な露天風呂です。

灯籠(とうろう)でライトアップされる、夜は幻想的…。アメリカ人のシェーンさんは、この体験がしたくてバスでやってきました。

シェーンさん
「本当に気持ちが良いよ 超サイコー!自分の人生でこんな体験は初めてだよ」

■夫との“思い出の道”を娘と…「よかった」

この日、初めてこの路線バスに乗ったという地元・奈良県の征子さん親子に出会いました。

思い出の道をバスで

谷川征子さん(84)
「この田舎の道が、私好きでね」

「車では何回か(行ってる)」

征子さん
「車で、夫が3人で連れてってくれたんですよ。(夫が)今度は一回バス乗りたいな。乗りたい、乗りたい言ってて」
「(Q.きょうは旦那さまは?)亡くなったの、この間」
「本当分かりませんよ。毎日が大事です」

征子さんの夫は、去年7月に急逝したといいます。

終点までの約6時間半 どんな思いで?

夫と何度もドライブしたという、この思い出の道…。終点までおよそ6時間半、征子さんはどんな思いで眺めていたのでしょうか。

征子さん
「まだ物足りんくらいやわ。バスの旅ええやん」
「良かったわ」

様々な思いを抱えた乗客を乗せ、バスはきょうも日本一長い路線を走っています。

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