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人は、なぜオンラインゲーム(MMORPG)をプレイしないのか - 朝日新聞

人は、なぜオンラインゲーム(MMORPG)をプレイしないのか - 朝日新聞

スクウェア・エニックスの人気のオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹さんに、『&M』にコラムを特別に寄稿していただきました。さて、吉田さんが考える、人がオンラインゲームをプレイしない理由とは……

人は、なぜオンラインゲーム(MMORPG)をプレイしないのか

なさんは、最近ビデオゲーム(テレビゲーム)を遊んでいるだろうか? PlayStation 4やNintendo Switchのような家庭用ゲーム機だけではなく、もちろんスマートフォンのゲームも含めてだ。

「ちょくちょく遊んでいるよ!」という方の中で、さらに、インターネットに接続して遊ぶ、「オンラインゲーム」をプレイしているのなら、もう僕からお伝えすることは何もない。僕は貴方の手を握りしめ、にこやかに、「ありがとうございます!」と言ったのち、その手に“ファイナルファンタジーXIV”のフリートライアルディスクをそっと忍ばせておくことにしよう(Web版はこちら)。

なお、既にファイナルファンタジーXIVをプレイ中だった場合には、速やかにそのフリートライアルディスクを、お友達に渡すという使命を託したい。ディスクを渡す友達がいない、というケースも考えられるが、むろん親兄弟でも構わない。友達がいない、ということに対しては、ドンマイ! と声をかけておくことにしよう。

さて、ビデオゲームを遊ばなくなってしまった、という方には、本コラムはあまり意味を成さないだろう。至極残念だが、ここで読むのを引き返していただいて構わない。このコラムは、「人は、なぜオンラインゲームをプレイしないのか」という内容のくせに、実は、「何とかオンラインゲームをプレイしてもらおう」と思っている人間が書いている。だから、そもそも、ビデオゲームをプレイしない人に対してのメッセージが存在しない。強いて言えば、暇なら読んでみてください、くらいか。今や、時間はお金にもまして貴重なものなので、貴方にとっての無駄にはなりたくないのである。

……前置きはこれくらいにしておいて、いよいよ本題である。オンラインゲームをプレイしない方の理由は、おおむね以下の五つの理由に大別できると僕は思っている。みなさんに、当てはまるものはあるだろうか?

当てはまる理由があったのであれば、他の理由は置いておいて、対象をクリックしてみていただきたい。

 

人がオンラインゲームをプレイしない理由その1.
『ゲームの中でまで、人間関係に悩まされたくないよ!』

メインビジュアル

僕がリサーチした限りでは、この「人間関係」というものを、オンラインゲームに対しての障壁と感じる方が一番多い。確かにオンラインゲームは、インターネットを通じて、見ず知らずの人と一緒にプレイする機会が多い。では、「見ず知らずの人とプレイする」ことが怖いのであれば、「知人を誘う」という手が使えるのでは?……と思うのは、実は早計である。

今をさかのぼること15年ほど前、僕の知人はこの手法を実践した。会社の同僚や上司と一緒にオンラインゲームをスタートしたのである。最初のうちは、和気藹々(あいあい)とゲームをプレイしていたが、数週間後にゲームに対する、「ハマり具合」の差が如実に表れてきた。特にこのケースでは、上司のプレイ熱量が高まってしまったので、なかなかどうして、大変なことになってしまった。

上司はゲームをプレイしたい。『キャラクターやジョブのレベルをどんどん上げたい!』と思ってしまったのである。一方、僕の友人は2、3日に一度ゲームをプレイして、気ままに遊びたいと感じていたので、ここに温度差ができてしまったのだ。こうなると目も当てられない。上司は会社にいる最中でも、『今日は20時に〇〇(ゲーム内の地名)に集合な! ふふふ、レベル15になるまで寝られないと思え! ガハハハ!!』などと言ってくる。もはや飲み会の誘いよりもタチが悪い。

僕の友人いわく、「ゲームの中でまで、上司にアレコレ気を使いたくないわ!」と憤っていた。

これを読んだ貴方は、「うわああ、やっぱり噂通りだし、想像していたそのままだ!」と思ってしまったかもしれない。そして、その認識は、間違いなく半分は正しい。ゲームの中にまで人間関係を持ち込む人は、間違いなくいる。そしてそれは、ゲーム以外の多くの娯楽でも同じことである。フットサルをやっていてもそうだし、飲みに行っても同じ。オンラインゲームだからといって、特別なことではないだから、「オンラインゲームは人間関係が怖い」という認識の半分は間違いだ。

また、確かに僕の友人のエピソードなどは、この当時のオンラインゲームで、頻繁に発生していた事象でもある。夫婦仲が悪くなった、とか、レベルを上げるために何十時間も費やさなきゃいけない、そんな噂を聞いたことがあるかもしれない。逆に言えば、当時はそれだけ、「熱狂できる新しい遊び」でもあったからだ。しかし、僕たちオンラインゲーム開発者も、時代に合わせてゲームデザインを変えてきている。

今の世代のオンラインゲームは、当時の思想とはまったく異なるゲームになっている。キャラクターやジョブのレベルは、ストーリーを追いかけているだけで、サクサク上がっていくようになった。むしろ、そのレベルアップの速度は、一般的なスタンドアローン(一人用/オフライン)のRPGなんかよりも、ずっと速くなっている。だから、部下のプライベートな時間を拘束してまでレベル上げをする必要もないし、ダンジョンを攻略するために、ゲーム内の町の中で同じ目的を持った人を探して、大声を張り上げる必要もない。ダンジョンを攻略するためのパーティメンバーは、マッチングシステムが自動的に探してくれる。マッチングした人と無理に友達になる必要もなく、「よろしくー!」「おつかれー!」と挨拶する程度の気軽さである。

今の世代のオンラインゲームは、“自分から”友達を作ったり、チームを組んだり、仲間を増やそうとしない限り、自由に一人で遊んでいくことができる。だから、人間関係に悩まされることはない。

せいぜい、ふと気づいたときに、「ゲームの中に友達がいなくて、ちょっと寂しいなあ」と思う程度である。ゲーム内で友達を探そうとしたり、どこかのチームやギルドと呼ばれる「寄り合い」に参加したりするのは、そう感じてからでも良い。もちろん、そうなると今度は人間関係が発生するけれど、先にも述べた通り、それは、ゲームに限らず人が集まる場所では必ず発生する。

「でも……あなたは、ゲーム業界の人でしょう? そう言って、だましているかもしれないじゃん……」と思う方がいらっしゃるかもしれない。事実、僕のプロフィール写真を見ても、あまり信用できそうな人物には見えないだろうから、それは仕方がない。人相が悪いのは諦めている。

そうなれば、ぜひ、ご自身の目で確かめていただくしかない、というのが僕の結論である。

そんな貴方に、『ファイナルファンタジーXIVフリートライアル』というものが存在する。

フリートライアル、つまり無料である。パッケージ料金も必要なければ、プレイ料金も必要ない。強くなるためには、単にストーリーを追いかけるだけでよく、ガチャもないので、お金が一切かからない! ゲームをダウンロードして、インストールする手間はあるが、なにせ無料である。YouTubeでも見ながら、我慢していただけると幸いだ。

>>理由その2.『他人に迷惑をかけるのが怖いから、プレイするのはためらわれる……』

<冒頭に戻る>

PROFILE

吉田直樹

ファイナルファンタジーXIVプロデューサー兼ディレクター
(株式会社スクウェア・エニックス 取締役/執行役員/第三開発事業本部 本部長)

「ファイナルファンタジーXIV」のプロデューサーとディレクターを兼任する傍ら、2018年に株式会社スクウェア・エニックス 取締役に着任。
出身は北海道札幌市。専門学校卒業後、1993年に株式会社ハドソンに入社し天外魔境シリーズ、ボンバーマンシリーズなどの開発に携わった。
2005年に株式会社スクウェア・エニックスに入社。「ドラゴンクエスト モンスターバトルロード」や「ドラゴンクエストX」の制作を手がけたのち、2010年には「ファイナルファンタジーXIV」のプロデューサー兼ディレクターに就任した。批判が多かった当時のゲームシステムなどを改修するため綿密な開発プランを実行し、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」として作品を立て直した。
以来、ファイナルファンタジーXIVの開発・運営を指揮している他、第三開発事業本部の本部長として部門運営にも従事している。
無類のゲーム好きを公言し、休日には一般のプレイヤーと共に「ファイナルファンタジーXIV」を楽しんでいるほか、他の新作ゲームも積極的にプレイしている。

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2019-11-20 08:10:09Z
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