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国立映画アーカイブで見る、日本の自主映画の現在 - CINRA.NET(シンラドットネット)

東京・京橋にある「国立映画アーカイブ」は、日本で唯一の国立映画機関。映画の保存や公開といった活動イメージが強いが、現在は若い作り手の育成・支援にも力を注いでいるという。そのひとつの試みが2020年2月14日(金)-15日(土)に開催される『第2回 Rising Filmmakers Project 次世代を拓く日本映画の才能を探して』。昨年からスタートしたこの企画を立案した冨田美香主任研究員と元村直樹客員研究員に話を聞く。

若手映画監督たちが期待すること。それは、「上映機会」の増加

―まず、今回の企画のお話に入る前に、国立映画アーカイブがどういう機関なのかをお聞きしたいです。

冨田:ひと言でいえば、映画文化の振興をはかる拠点の役割を担っているのが国立映画アーカイブです。映画と映画関連資料の保存・公開、映画に関するさまざまな教育、映画を通した国際連携・協力といった機能を備えています。

その中で、たとえばさまざまなテーマの特集上映や、映画関連資料の展示や図書室での公開、多様な観客層に向けた映画鑑賞教育や保存・復元等に関わる人材育成などを実施しています。

東京・京橋にある、国立映画アーカイブ
東京・京橋にある、国立映画アーカイブ
(上段左から下段右へ)長瀬記念ホール OZU、展示室の常設展「NFAJコレクションでみる 日本映画の歴史」、図書室、「第2回 Rising Filmmakers Project 次世代を拓く日本映画の才能を探して」の会場である小ホール
(上段左から下段右へ)長瀬記念ホール OZU、展示室の常設展「NFAJコレクションでみる 日本映画の歴史」、図書室、「第2回 Rising Filmmakers Project 次世代を拓く日本映画の才能を探して」の会場である小ホール

―そうした活動の中から、今年で第2回を迎える『Rising Filmmakers Project 次世代を拓く日本映画の才能を探して』はどのように立ち上がったのでしょう? 正直なことをいうと、国立映画アーカイブというと、日本のクラシック名画の上映や歴史的資料の特集展示といったイメージが強い。若手監督をサポートするような企画のイメージはあまりありませんでした。

冨田:そうですよね。映画文化の振興、映画文化を後世へ残すというと、クラシック映画の収集・保存をする機関と思われがちかもしれません。もちろん、それは重要な役割です。ただ、わたくしどもとしては、次世代の映画の作り手や観客を育むこともまた、映画文化を後世へ継承する上で非常に重要なことだと位置づけています。この『Rising Filmmakers Project 次世代を拓く日本映画の才能を探して』は、その中でも若い作り手を後押しする試みですね。

この企画の出発点には、当館が受けている文化庁の補助金に、若手クリエーター等の育成・支援というテーマができたことがあるんです。けれども、すでに国内の映画祭や映画製作への助成とか、海外映画祭への出品支援や人材育成などは、文化庁などの事業で長い間行われているんですよね。その中で、新しく国立映画アーカイブにできることはなにかな、と、上映ホールを使った上映会やセミナー、作品の保存など考えながら、ともかく若い才能を紹介できて、若い観客の方に興味をもっていただけるような企画やプログラムができないか、と思いました。

ぴあフィルムフェスティバル(以下PFF)をここで開催していることも大きいですね。というのも、PFFではじめて国立映画アーカイブにきたという若い人がけっこういらっしゃるんですよ。もっとこういった若い作り手や観客に開かれ、集う場があっていいのかなと。そこで、企画を作るにあたってのニーズ調査も進めることにしました。

冨田美香(とみた みか)<br>国立映画アーカイブ主任研究員。日本大学芸術学部映画学科卒、早稲田大学大学院文学研究科芸術学(演劇)博士前期課程修了。東京国立近代美術館フィルムセンター客員研究員、立命館大学教授を経て、2015年9月から現職。
冨田美香(とみた みか)
国立映画アーカイブ主任研究員。日本大学芸術学部映画学科卒、早稲田大学大学院文学研究科芸術学(演劇)博士前期課程修了。東京国立近代美術館フィルムセンター客員研究員、立命館大学教授を経て、2015年9月から現職。

―企画はどのように具体化していったのでしょう?

元村:若手クリエーターの育成・支援という観点にたったとき、映画祭がひとつのポイントになるかなと思いました。これまでに人材を発掘してきた、あるいは人材育成に力を入れている映画祭を中心に、実際に足を運んで関係者や入選した監督などから、どのような支援を必要としているか、ご意見をうかがいました。

たとえば海外映画祭に出品するにはどうしたらいいか、作品の保存はどうしたらよいかといった、さまざま必要な支援がでてきたんですけど、その中でも多かったのが「上映機会」です。映画祭での上映だけで終わってしまう。ほかでも上映したいという声がけっこう多かったんですね。若手クリエーターの意見を踏まえて当館にできる企画を考えていったときに、上映ならば実現可能で、若手のみなさんにも喜んでもらえるかなということで話がまとまっていきました。ちなみに、作品の保存に関しては『ボーンデジタル映画の保存に向けて:学生映画・大学篇』という形で、昨年度と本年度にセミナーを開催しています。

元村直樹(もとむら なおき)<br>早稲田大学卒業後、放送評論家・志賀信夫の助手を務めると同時に、演出家・大山勝美に師事。テレビ番組制作に従事。2006年から早稲田大学で映画・映像関連科目を担当するなど、映像制作教育にたずさわる。2018年から国立映画アーカイブ客員研究員。
元村直樹(もとむら なおき)
早稲田大学卒業後、放送評論家・志賀信夫の助手を務めると同時に、演出家・大山勝美に師事。テレビ番組制作に従事。2006年から早稲田大学で映画・映像関連科目を担当するなど、映像制作教育にたずさわる。2018年から国立映画アーカイブ客員研究員。

―今回は5つの映画祭からの受賞・推薦作品を上映します。この5つの映画祭をピックアップした理由は?

元村:全国には200以上の映画祭がありますが、その中から若手作家を輩出している代表的な映画祭をまずはピックアップしようと。

それで、劇映画界で活躍する映画人を数多く生み出していること、10年以上継続して開催されていること、短篇のみではなく中長篇のコンペティションを行っていることを条件として、これらに合致する、各地を代表する映画祭に作品の推薦をお願いしました。

冨田:つけ加えると、わたくしどもは国立機関ですので、どこかにかたよるわけではなく、ある意味ボーダレス。その強みを生かして、自主映画などから多くの若手監督を発掘している代表的な映画祭がひとつに集まれる場、それを提供できると思いました。また、関東在住の映画関係者で、遠方の映画祭になかなか足を運べない方も大勢いらっしゃる。そういった方にも受賞作をまとめて観られる機会になればいいなという思いもありましたね。

『第2回 Rising Filmmakers Project 次世代を拓く日本映画の才能を探して』チラシビジュアル
『第2回 Rising Filmmakers Project 次世代を拓く日本映画の才能を探して』チラシビジュアル(サイトを見る

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