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YOSHIDAで体験する高級時計への旅 ~第86回~ - Gressive

挑戦その2 ―― セラミック
ウブロ第2次創業期以来の必須素材

 狭義では陶磁器、広義ではセメント、瓦、ガラス等までを含むセラミックは、古来より存在する粘土等の天然物を原料とし、これを成形・焼成などの工程を経て得られる非金属・無機材料の焼結体を指す。この原料をセラミックと呼び、セラミックを使用した製造品の呼称がセラミックスだ(しかし最近は明確な定義分けをせずに混在使用する傾向にある)。耐熱性・耐磨耗性・耐腐食性に優れる一方、衝撃や急激な温度変化に弱いという弱点もあったが現在ではこの問題を解決したセラミックスも存在している。ウブロもそのひとつだ。

 以前よりウブロにとってセラミックはゴールド、サファイアクリスタル等と共に重要なケース素材である。ウブロのコンセプト“The Art of Fusion”とは、“異なる素材やアイデアの融合”を意味する。これは2005年発表の「ビッグ・バン」のケースが異素材を重ねた多層レイヤード構造であったことにも表れている。しかし、ウブロは“異なる素材”が“異なる素材を化学的に融合”させる試みへと進化し始め、社内には研究開発(R&D/Research & Development)部門も整備され始める。

 2016年、前述の“サファイアクリスタル”ケースをリリースしたウブロは、ついに2018年の1月、ジュネーブ展示会において鮮やかな赤を表現することに成功した“レッドセラミック”搭載モデルが登場する。それがケース径45mm、自社開発・製造ムーブメントの自動巻きフライバック・クロノグラフ“UNICO”Cal.HUB1242搭載の「ビッグ・バン ウニコ レッドマジック」だ(世界限定500本)。

 これはカラーセラミックでは色彩表現が極めて困難とされてきた、濃密で鮮明なレッドの発色に成功した画期的な存在。まるで油絵具を塗り込んだかのような、ねっとりとした赤の質感には多くの時計関係者からの支持を得た。成功の原動力は前述した社内の研究開発(R&D)部門。彼らが約4年の期間を経て開発した革新的な製造方法によるもので、セラミックの加圧と加熱焼結の融合により顔料(ピグメント=Pigment)を焼成しないという方法により完成し、かつ従来の1200HV2より優れる1500HV1の硬度を確保した(HV=ビッカース硬度を表す記号。ちなみにダイヤモンドはHV7140~15300)。

 この“レッドセラミック”は2019年の「アエロ・フュージョン クロノグラフ オーリンスキー レッドマジック」、続けて本年の2020年には世界限定100本の複雑時計「ビッグ・バン MP-11 14デイ パワーリザーブ レッドセラミック」でも採用された。

 過去においても現在でも、ムーブメントの自社開発・製造能力を持つ時計会社をマニュファクチュールと呼称するが、ウブロはもはやムーブメントのみならず、ケース素材までも含めた21世紀型マニュファクチュールを先取りしていると言ってよいだろう。

 彼らのケース素材の開発は今後も止まることを知らないはずだ。事実、本年の2020年はサファイアクリスタルやカラーセラミックとは別の新素材“SAXEM”が登場した。さて、次の一手はどう出るのか? 予断を許さぬウブロの活動は時計ファンの楽しみであり、かつ他社を圧倒するウブロの“今”を示している。


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May 15, 2020 at 09:46AM
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