“新型コロナウイルス”こと「COVID-19」が各国に広がりつつあります。まずは対策の最前線に立つ関係者の皆さまに敬意を表しつつ、被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
企業の取り組みについてはGMOグループを筆頭に、在宅勤務の推進が話題です。大人数が集まるイベントも延期や中止が相次ぎ、IT関連の勉強会やセミナーの多くで開催が見送られています。
このような災害時には、感染症に関する正しい知識と情報を身につける大切さを身に染みて感じます。また、SNSにべったり張り付くことでむしろストレスをためてしまう人もいるはず。いったん、ネットから距離を置くことも必要かもしれません。
ITの世界における「ウイルス」を振り返る
さてITの世界でウイルスといえば「コンピュータウイルス」。最近では「マルウェア」という呼称も定着しているので印象は薄いかもしれませんが、そもそもコンピュータウイルスに関連する用語は人間に作用するウイルスになぞらえてあります。コンピュータウイルスの起源は、1982年の「エルク・クローナ」といわれています。エルク・クローナは、シンプルなメッセージを表示するだけのものだったそうです。
プレイバックPart.I:ウイルスのかたち、脅威のかたち :セキュリティ対策の「ある視点」(12) - @IT
現在コンピュータウイルスは、インターネットに存在する「悪意」の象徴です。悪意はさまざまな手を使ってシステムに不正侵入しようとしてきます。われわれは不正侵入を防ぐため、普段と違う挙動を検知する仕組みや感染したデバイスを隔離する仕組みなどで備えています。これはまさに、感染症における検疫対策と一緒。感染症に対して私たちにできるのはうがいと手洗い、PCの世界においてはアップデートやバックアップ、IDとパスワード管理……といったところでしょうか。
働き方改革を超え、死活問題となった「テレワーク」
さて、COVID-19は特にIT関連企業に対し、即効性のある大きな変革を強いることになりました。GMOグループはいち早く、2020年1月27日から全従業員の9割にあたる約4000人を対象に在宅勤務とするリリースを発表。後に大手IT系企業が続々と同様の施策を発表しました。
GMOインターネットグループ、新型コロナウィルスの感染拡大に備え在宅勤務体制へ移行 | GMOインターネット株式会社
さらに、IT関連のイベントにも大きな変化が起きました。多くのセミナーやカンファレンスが中止になったり延期になったりしています。しかし興味深いのは、集合型セミナーから「オンライン開催」への変更が目立つこと。ここからは、ITの強い「復元力」が見えます。
コロナウイルスに関する国内テックカンファレンスの開催状況 2020 年版
そして、記者としての私の動きにも変化がありました。記者発表も数十人が集まるイベントであるため登壇者が来日できず、急きょオンライン取材になることが増えたのです。この変更によって私自身も満員電車のリスクから解放され、非常に有用だと思いました。
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平時の備えが有事を救う
テレワークが注目を集めた大きなきっかけには、2011年3月に発生した東日本大震災があります。あのときから基盤を整備していた企業が、今回の急激な状況の変化に対応できたのかもしれません。
「ウイルス」から身を守るには何を知り、どう対策するべきで、そのためにどんな仕組みが必要なのか。今回の感染症からも、たくさんの学ぶべきことが浮き彫りになっています。
私個人にとっては、COVID-19による最大の教訓は「有事は突然やってくる」でした。そして有事が来てしまえば、もう悠長にものごとを考える時間はありません。つまり現在は「これまでやってきたこと」が問われている段階なのです。そういった意味ではGMOグループを始め、リモートワークへの移行を発表している各企業は評価すべきでしょう。
「今となっては……」という話になってしまいますが、平時のタイミングで有事を想定してリモートワークの訓練を実施していれば、今回のような「突然の有事」に対してスムーズな切り替えができたでしょう。さらに、働き方の変化によって生じる混乱を少しでも抑えるべく、あらかじめ問い合わせ先や連絡手段などが周知されていることも重要かもしれません。もしかしたら「メモのカードを配布した各自の財布に保管しておいてもらう」といったアナログな方法こそが有効なのかもしれませんね。
テレワーク導入の難しさは、単にVPN装置を入れてPCにエージェントをインストールする、ID基盤を整理しBYOD端末でも企業内システムを利用可能にするといった「何かを買って設置する」だけでは実現できない点にあります。組織全体の意識や知識がバラバラではさまざまな食い違いが生じて「なんだかんだ言っても出社するほうが正しい」という空気になり、本格導入には至らないでしょう。だからこそ平時の訓練として、意思疎通や情報伝達のルート整備が重要なのです。
COVID-19はその問題をあぶり出しました。この感染症が落ち着いたタイミングが企業にとっての「最後のチャンス」となるはずです。
ちなみに今回、記者として初めてオンライン記者会見に臨んだのですが……指示されたURLをクリックして会議の参加を申請したものの、10分たっても20分たっても申請が許可されず、結局最後まで黒い画面を眺めるのみという結果になりました。
急きょ決まった新方式で訓練も連絡先も分からずでしたが、こちらの落ち度でもあるので誰も責めるわけにはいきません。有事に学んだことは次につながるはず。同じ過ちを繰り返さないよう、学べるところは学び尽くすようにしたいと思います。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門 「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる。
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