急がば回れ-。日本一大きい湖、琵琶湖は、こんなことわざを生んだ。急がず焦らず、自分の足で駆ければ、きれいな景色や隠れたスポットとの出合いも待っている。走りながら旅を楽しむ「旅ラン」にはうってつけの場所。そんな滋賀県を舞台に、中、上級者の市民ランナー2人と、“超”がつく初心者ランナーの記者(26)が、おすすめのコースを紹介する。
神社仏閣巡って集めて
走ることが苦手な記者が、これならばと手にしたのが御朱印帳。旅先で御朱印を集めるのは趣味の一つだ。面積あたりの寺や神社の数が全国上位という滋賀の魅力を味わうべく、いざ、「御朱印ラン」へ-。
天台寺門宗の総本山・三井寺(園城(おんじょう)寺)=大津市=からスタート。広い境内を進むと、浮世絵などにも描かれた近江八景の一つ「三井の晩鐘」に到着。歴史ある鐘の音色に心洗われ、鐘が描かれた御朱印もしっかりいただいた。ゆっくりと境内を見て回れば、程よい運動にもなる。
三井寺のすぐ近くにあるのが三尾神社。「兎(うさぎ)神社」というかわいらしい別名がつくこの神社は、卯(う)の年、卯の刻、卯の方角から現れた神をまつることが由来。その名の通り、境内の石像はウサギ、お守りもウサギ。御朱印も、もちろんウサギだ。癒やしパワーをもらい、次へ向かう。
明治時代に造られた琵琶湖疏水(そすい)のそばを通り450メートルほど走ると、こぢんまりとした二つの神社に行き着いた。長等神社と馬神神社。馬神神社はその名の通り、牛馬の守護神として信仰を集める。馬の形をした絵馬には、競馬ファンの熱い願いがいくつも。ガイドブックではなかなか見かけない、ユニークな神社と出合えるのも楽しい。
そこから200メートルほど先にある滋賀県神社庁にも立ち寄った。御朱印をいただき、神職と雑談をしていると「少し先の関蝉丸(せきせみまる)神社も人気ですよ」と教えてもらった。今回足を延ばすことはできなかったが、次は走って行ってみよう。新たな目標ができた。
ゴールは、毎年10月に豪華絢爛(けんらん)な曳山(ひきやま)が巡行する「大津祭」の元宮・天孫神社。短い距離で、6カ所を巡ることができた。御朱印を集める目標があれば「もう少し先まで行こう」と前向きに頑張れる。初心者にもおすすめの楽しみ方だ。
四季と自然 感じながら
琵琶湖の南端から流れる瀬田川のほとりは、地元の人にとっては定番のランニングコース。紹介してくれるのは、ランニング歴3年の光永里子さん(47)=大津市。「川と山、空のコントラストがすてきで、季節を感じながら走れる」という、瀬田川洗堰(あらいぜき)から膳所(ぜぜ)城跡公園まで約7キロのコースだ。
れんが造りが特徴的な史跡・瀬田川洗堰から、川沿いの平地をまっすぐ北へ。飲食店が立ち並ぶエリアに差しかかる。光永さんが「ランニングのご褒美で買っていくことが多い」というパン屋さんも。ひと息つくのもいいかもしれない。
川面を眺めながらしばらく進むと、紫式部が源氏物語の着想を得たという石山寺に。木々が色づき始めた今の時期は、記念撮影にぴったりだ。かつては多くの旅人が行き交った東海道の要衝・瀬田の唐橋、近江八景の一つ「粟津の晴嵐」にちなんで植えられた湖岸沿いの松並木を通り、膳所城跡公園でゴール。比叡山延暦寺のある比叡の山並みが遠くに見える。
写真スポットに恵まれたこのコース。「川や湖の風は心地いい。走ってみると、車で通るのとは違う景色を楽しめる」と光永さんは話した。
フルマラソンの練習に
大津市と対岸の守山市をつなぐ琵琶湖大橋の南側は「南湖」と通称される。そこをぐるりと一周すると約42キロ。フルマラソンとほぼ同じ距離を、琵琶湖をすぐ近くに感じながら走ることができる。
全国のマラソン大会に出場する大津市の会社員中川恒(ひさし)さん(48)が提案するのが本格的なこのコース。大津港を出発し、反時計回りに近江大橋、さざなみ街道、琵琶湖大橋を通り戻ってくる。
琵琶湖大橋あたりで、少し寄り道した場所にある「BIWAKO」のモニュメントは一見の価値あり。途中の草津市と守山市のショッピングモールには温浴施設が、おごと温泉観光公園には無料の足湯コーナーがあるので、疲れを癒やしながら先に進むのもおすすめだ。
全長約1・4キロの琵琶湖大橋は、中川さんイチ推しの場所。「橋に高さがあるので、水面(みなも)がキラキラと光って本当にきれい」。車も多く通るが、雄大な琵琶湖をゆっくり楽しめるのはランナーの特権なんだとか。
西岸に渡ると、数々の観光地に立ち寄れる。琵琶湖にぽっかりと浮かぶ姿が人気の浮御堂(うきみどう)。対岸に近江富士を望む唐崎神社。「琵琶湖沿いは風が強くて大変だが、平地が続いているので走りやすい。足を延ばせば史跡を巡ることもできる」と魅力を語る。
フルマラソンの練習に、ぜひ挑戦してみては。
(文・柳田瑞季、写真・松田雄亮)
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