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【私のひとり旅】真鶴町でぬくもり息づく背戸道を歩く - 読売新聞オンライン

 神奈川県南西部に位置する真鶴町は、1993年に制定された、リゾートマンション開発などから町を守る「まちづくり条例」により“美の町”とも呼ばれている。住民たちが守り、その価値を高めている港町を歩いてみようと、真鶴駅に降り立った。平屋建ての駅舎を出ると、周りに高層ビルはなく空が広い。

 駅前の通りから民家と民家の間を縫うように続く路地へと入っていく。こうした路地は 背戸道(せとみち) と呼ばれ、町の随所にあり、真鶴らしさを体感できる見どころでもある。地元で採れる小松石を積んだ石垣が巡り、庭先にはレモンの木が植栽され、ふと足元を見ると 可憐(かれん) な草花も。この心和む景観に欠かせない石垣や実のなる木、花々などは、条例に基づき大切にされているものなのだそうだ。

 路地の奥におしゃれな店を見つけた。真鶴出版だ。ここは川口瞬さんと 來住(きし) 友美さんが真鶴に移住したのを機に2015年に設立した“泊まれる出版社”。真鶴の魅力を広く発信し、金・土曜にはショップをオープンしている。「真鶴では昔懐かしい町並みと人の温かさを感じてもらいたいですね」と話す來住さん。

 真鶴出版を後に真鶴港へ向かう。途中、パン屋さんやコーヒー 焙煎(ばいせん) の店などもあり、歩いていて楽しい。真鶴港には小さな船が停泊し、ひなびた風情が漂う。昼食は港に面して立つ「 honohon(ホノホノ) o」で本日の魚料理の黒鯛のポワレをいただいた。黒鯛は皮目がカリッとして白身はふっくら! おいしさに頬が緩む。

 料理を堪能したら、まだ通っていない背戸道を歩いて駅に戻る。この道で合っている?という少しの戸惑いと、この先には何があるかという好奇心が入り交じり、探検気分を味わえるのが 醍醐味(だいごみ) 。さらに、視界が開けて思わぬ絶景と出合えるかもしれない。この先、どんな景色が待っているか楽しみだ。
 文/木村理恵子 写真/依田佳子
(「旅行読売」2023年6月号から)

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